抄録
モヤモヤ病における塩基性線維芽細胞増殖因子 (bFGF) の関与を検討するため, 脳表髄液中のbFGFをtwo-site sandwich enzyme immuno assayで測定した.モヤモヤ病では18例中16例にbFGFが検出され, 平均値85.5pg/mlであった.動脈硬化性の内頚動脈または中大脳動脈閉塞症では12例中5例でbFGFが検出されたがその値は微量で平均値は検出限界 (10pg/ml) 以下であった.椎間板障害患者から腰椎穿刺にて得た髄液中にはbFGFは検出されなかった.モヤモヤ病で3~4週後に行った対側の手術で得た脳表髄液中にもbFGFが検出された.髄液中にbFGFが検出されたモヤモヤ病症例には, 間接血行再建の効果が認められた.