脳卒中
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16 巻 , 3 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 北岡 卓治, 藤田 啓, 久山 秀幸, 長尾 省吾
    1994 年 16 巻 3 号 p. 173-180
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    脳虚血時に発現する脳アシドーシスは神経細胞障害を増強させる重要な因子と考えられる.今回, ネコ局所脳虚血モデルを用い, アルカリ化剤 (THAM, NaHCO3) を投与し, 生理的食塩水を投与したコントロール群を対照に, 皮質血流量, 脳表pH, 脳水分量, 脳組織乳酸値に対する効果を比較検討した.その結果, 虚血部皮質血流量は, 3群とも閉塞後直ちに減少し, その後6時間の間3群間で有意な変化を示さなかった.虚血辺縁部にあたるmarginalgyrusの脳表pHは対照群では有意に低下したが, THAM, NaHCO3群では閉塞前に比し有意な変化はみられなかった.虚血6時間後のmarginal gyrusの組織中乳酸値は, NaHCO3群では対照群に比し有意に増加したが, THAM群では有意な減少が認められ, 皮質水分量も有意に抑制された。THAMの作用発現には, 虚血辺縁部の乳酸アシドーシスの改善が関与していることが推定され, NaHCO3の投与ではかえって細胞障害を増悪させる可能性が示唆された.
  • 堀川 義治, 山本 和明, 成瀬 昭二, 上田 聖, 田中 忠蔵
    1994 年 16 巻 3 号 p. 181-185
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    脳虚血に対する塩酸ビフェメラン (Bifemerane hydrochloride) の効果を実験的に検討した.Pulsinelli等の報告によるラット主幹4動脈閉塞による前脳虚血モデルを用いた.30分間の4動脈の閉塞の後, 両側の総頸動脈の血流を再開し, その後の急性期の脳内エネルギー代謝の状態を31P-magnetic resonance spectrum (MRS) を測定する事により, in vivoで, かつ非侵襲的に観察した.さらに, その後のラットの生存期間を測定した.塩酸ビフェメラン投与群と非投与群とで結果を比較検討した.平均生存期間は非治療群では4.8日であったが, 塩酸ビフェメラン投与群では, 12.8日に延長した.31P-MRS測定の結果, 血流再開により早期からエネルギー代謝は急速な回復を示したが, 塩酸ビフェメランにより, このエネルギー代謝の急激な回復という変化が抑制される傾向が認められた.脳内エネルギー代謝の回復過程への効果と, 生存期間の延長という結果との間の関連に関しての詳細は不明な点が多いが, 塩酸ビフェメランの治療効果を客観的に評価する結果として興味あるものと考えられる.
  • 田中 柳水, 宮坂 佳男, 丸山 茂善, 山田 勝, 倉田 彰
    1994 年 16 巻 3 号 p. 186-190
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    ラット脳虚血実験モデルにおいてbasic fibroblast growth factor (bFGF) の投与が脳梗塞巣の縮小効果を有するか否かを検討した.Sprague-Dawleyラットの左中大脳動脈を閉塞後, 左総頸動脈よりbFGFを100ng投与した.薬剤投与24時間後に脳を摘出し塩化トリフェニルテトラゾリウムを用いて梗塞巣を測定した.bFGF治療群の梗塞巣は, 生理食塩水を投与した対照群に比較し, 有意に縮小していた (unpaired Student's t test, p<0.05).以上の結果から動脈内に投与したbFGFは, 脳梗塞巣を縮小させうることが示唆された.
  • 西谷 和敏, 宇野 昌明, 本藤 秀樹, 松本 圭蔵
    1994 年 16 巻 3 号 p. 191-200
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    高血圧性視床出血の脳室内出血 (IVH) が転帰に及ぼす影響について, cast formation (CF) の有無に注目して検討した。243例の視床出血のうちIVHを認める105例をCFの有無でCF (+) 群45例, CF (-) 群60例の2群に分類し, 転帰は意識障害を重視してvegetative state, deadの症例を不良例として比較した.転帰不良例はCF (+) 群は23/45例, CF (-) 群では7/60例でありCF (+) 群で転帰不良例が多く (p<0.01), CFは予後不良因子と考えられた.脳内血腫量が10ml以下の小血腫でも, 10m1以上でもCF (+) 群で転帰不良例が多く (p<0.05), CT分類別でもCF (+) 群で転帰不良例が多かった (p<0.05).CFの部位は, 第3・第4脳室を中心にCFを形成した例が側脳室を中心にCFを形成した例よりも転帰不良例が多かった (p<0.05).したがってCFをみる例は血腫の量, 進展方向, CT分類とは別に考えなければならない予後不良因子と考えられた.特に第3・第4脳室にCFをみる例の転帰が不良であった.
  • 高橋 明弘, 宝金 清博, 上山 博康, 沢村 豊, 阿部 弘
    1994 年 16 巻 3 号 p. 201-205
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2010/01/25
    ジャーナル フリー
    モヤモヤ病における塩基性線維芽細胞増殖因子 (bFGF) の関与を検討するため, 脳表髄液中のbFGFをtwo-site sandwich enzyme immuno assayで測定した.モヤモヤ病では18例中16例にbFGFが検出され, 平均値85.5pg/mlであった.動脈硬化性の内頚動脈または中大脳動脈閉塞症では12例中5例でbFGFが検出されたがその値は微量で平均値は検出限界 (10pg/ml) 以下であった.椎間板障害患者から腰椎穿刺にて得た髄液中にはbFGFは検出されなかった.モヤモヤ病で3~4週後に行った対側の手術で得た脳表髄液中にもbFGFが検出された.髄液中にbFGFが検出されたモヤモヤ病症例には, 間接血行再建の効果が認められた.
  • 井口 太, 〓川 哲二, 加藤 幸雄, 徳田 佳生, 大林 直彦
    1994 年 16 巻 3 号 p. 206-211
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    破裂脳動脈瘤の多くは, クリッピングによって完全に処置できれば再度クモ膜下出血を起こすことは稀である。我々は脳動脈瘤の手術後数年をへて, 初回手術時の脳血管撮影では認められなかった部位に, 破裂脳動脈瘤の新生をみた3例を経験した.3例全例にクリッピング術を行い新生脳動脈瘤が出血源であることを確認した.発生部位は2例が内頸動脈一後交通動脈分岐部, 他の1例が前交通動脈であった。最初の2例では高血圧が危険困子と考えられ, 他の1例では頸部の頸動脈閉塞術に伴う血行動態の変化が原因と思われた.
  • 渡邉 保裕, 礒江 健二, 田中 弘道, 斉藤 潤, 深田 倍行
    1994 年 16 巻 3 号 p. 212-215
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    分節性解離性感覚障害を呈し, その責任病巣をMRIにて確認しえた1例を報告する.症例は52歳男性で, 酩酊様歩行を主訴として来院した.神経学的検査で, 左側のHorner症候群, 体幹運動失調および右半身T11以下の痛覚鈍麻, T10以下の温度覚鈍麻を認めた.CTスキャンでは明らかな異常を描出しえなかったが, MRIにて左下部延髄外側部にlacunar infarctionを確認した.本症は, 延髄における外側脊髄視床路の体性局在を証明する貴重な1例と考えられた.
  • 関山 西里, 永山 正雄, 篠原 幸人
    1994 年 16 巻 3 号 p. 216-220
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    再生不良性貧血に対して蛋白同化ステロイド (oxymetholone) を少量 (1日5mg) 8年間服用中であった29歳女性.妊娠中毒症と子宮内胎児死亡の4カ月後に頭痛を自覚, 続いて痙攣・右片麻痺が出現し, 上矢状洞などの脳静脈・静脈洞閉塞症と診断した.本症に脳静脈洞閉塞症を併発した症例はこれ迄に3例あり, いずれも蛋白同化ステロイドあるいは男性ホルモンを発症前1~3カ月間に比較的多量に服用していた.本例においては蛋白同化ステロイドを長期間かつ少量しか服用していなかった点が特異であった.本例および文献例の検討より, これらの薬剤を服用中の再生不良性貧血例に頭痛と比較的急激な血小板数増加を認めた場合は, 脳静脈洞閉塞症の前段階あるいは初期であると考え, 速やかな薬剤減量・中止を行うべきと考えられた.
  • 加藤 博之, 岡田 竜一郎, 高島 敏伸, 大森 啓造, 須永 俊明
    1994 年 16 巻 3 号 p. 221-223
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    高血圧と高脂血症を負荷したウサギの脳実質内徴小血管を電顕的に検討した.微小血管の周囲には血管を全周性に取り囲むように存在する辺周細胞が存在しており, 胞体内には顆粒を有していた.細静脈周囲の辺周細胞にはGolgi vesicle, fusion vesicle, vacuoleが見られ, lipid粒子様のlysosome, 空胞化の目立つlysosomeが認められた.これに対し細動脈周囲に存在する辺周細胞ではlipid粒子様のlysosomeやvacuoleは目立たなかった.これらの辺周細胞は高血圧と高脂血症の負荷に伴って反応性に出現してきたhistiocyteの可能性があり, また動脈周囲に比べ静脈周囲の辺周細胞に強い細胞学的変化が現れることが示唆された.
  • 神内 隆宏, 本間 温, 藤原 敬, 久山 秀幸, 長尾 省吾
    1994 年 16 巻 3 号 p. 224-227
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    高血圧のある男性が突然にめまいと嘔吐をきたした.初回の頭部CTでは異常なく近医で保存療法を受けるも症状は継続していた.発症11日目のCT再検で小脳出血が認められ, 発症15日目には血腫の増大とともに意識障害が出現したために緊急入院となった.入院時, up-wardhemiationの徴候が認められたため緊急後頭下開頭術を施行.この際, 血腫除去とともに血腫壁の一部を採取し術後に病理検索したところ血管芽腫と診断された.血管芽腫からの大量出血は稀であり, これまで報告例も少ない.非典型的あるいは原因不明の小脳出血をみた場合, 術前に可能な限り脳血管写は行うべきであり, また手術の際には血腫壁の病理検索が重要と考えられた.
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