脳卒中
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MRI上橋底部高信号の成因に関する検討
渡辺 正樹高橋 昭新畑 豊茂木 禧昌
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1994 年 16 巻 4 号 p. 244-249

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抄録

MRI (T2強調像) にて橋底部に認められる虚血によると考えられる高信号の成因とその意義について検討した.橋部高信号例はテント上多発性高信号群 (A群;放線冠, 大脳基底核, 視床のうちいずれか2領域以上に15mm以下の小高信号を認める), 椎骨動脈左右差群 (B群;MR angiographyにて左右の椎骨動脈の径の比が1 : 2以上) でいずれも無所見群より有意に高頻度であった.A群では両側性で橋上部に, B群では片側性で橋下部に高信号が多かった.またB群での小径の椎骨動脈の側は橋部高信号の側と一致することが多かった.さらに脳室周囲高信号域の程度は, A群がB群より有意に強かった.以上より橋部高信号は, 1) テント上多発高信号, 2) 椎骨動脈左右差のいずれかが存在する場右に形成され易く, その意義はそれぞれ, 1) 広範な動脈硬化の進行, 2) 血行力学的異常と思なる可能性が示唆された.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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