脳卒中
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局所脳虚血における興奮毒性
グルタミン酸受容体拮抗薬の治療効果
八尾 博史藤島 正敏
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1994 年 16 巻 5 号 p. 303-317

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抄録

脳虚血により大量のグルタミン酸が放出され, 脳虚血の病態を増悪させると考えられている.多くの局所脳虚血モデルにおいてグルタミン酸受容体拮抗薬 (MK-801やNBQXなど) が効果を示しており, そのことが逆に脳虚血病態において興奮毒性の存在する根拠となっている.グルタミン酸受容体拮抗薬は脳血管障害急性期の治療薬として, 理論的には有望な薬であるが, その作用機序に関して不明な点も残されている.脳血管障害の治療薬剤の効果を実験的に検討する場合, 薬剤の非特異的な影響により結果が左右されないよう配慮が必要である.グルタミン酸受容体拮抗薬による脳梗塞縮小効果が受容体の選択的遮断ではなく, 薬剤により生じた低体温や脳血流への影響による場合には, 臨床例において効果をえるのは難しいであろう.本論文では脳卒中治療薬剤としてのグルタミン酸受容体拮抗薬の実験的検討におけるいくつかの問題点を指摘し, 考察を加えた.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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