脳卒中
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一過性脳虚血発作の臨床的分類についての再考
発症機序との関係において
塩川 宰石束 隆男
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1995 年 17 巻 2 号 p. 116-123

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抄録

テント上病変で説明可能で脳血管写をうけたTIA38例を, 古典的ラクナ症候群を呈する穿通枝系TIA (穿通群) と皮質症状 (単麻痺や失語等) を呈する皮質枝系TIA (皮質群) に分け, 血管病変との対比により発症機序を考察した.血管写では症状に対応する脳主幹動脈の閉塞や径50%以上の狭窄等を異常とした.皮質群12例 (32%) に対し, 穿通群は21例 (55%) と過半数を占めた.残る5例 (13%) はいずれの群にも分類困難であった.皮質群に比し穿通群では高血圧合併が多かった.血管写は穿通群の62%, 皮質群では心源性塞栓症 (CE4例) の全例が正常であるが, CE以外の皮質群の87%は異常であった.主な機序は穿通群では穿通枝のin-situ病変が, 皮質群では微小塞栓やCE, 脳血流不全が推定された。本邦例では穿通枝病変を機序とする例が多いこと, またテント上病変によるTIAを穿通枝系と皮質枝系に分類する方法は, 血管病変や機序を推定する上で有用であることが示唆された.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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