抄録
症候性脳血管障害の既往のない例において無症候性ラクナ梗塞の発生にどのような因子がどの程度関与するかを明らかにすることを目的とした.脳ドックの受診者のうち, 脳血管障害の既往を認めない男性882例 (平均51±10歳), 女性376例 (53±10歳) を対象とした.ラクナ梗塞の有無は磁気共鳴断層撮影のT1強調画像, T2強調画像, プロトン密度画像により診断し, 対象の年齢, 家族歴, 既往歴, 服薬状況, 血圧, 体重, 末梢血, 血液化学, 飲酒喫煙習慣との関連を調査した.男性84例 (9.5%), 女性22例 (5.9%) にラクナ梗塞が認められ, 男女間の頻度の差は統計学的に有意 (p<0.05) であった.男性では年齢, 血圧が互いに独立した危険因子であった.女性では年齢が危険因子であった.男性においては高血圧はラクナの発生を約10年早め, また50歳代の男性では高血圧群は正常血圧群に比べてラクナを有する相対危険度が32~4.2倍であった.