脳卒中
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内頸動脈および上腸間膜動脈に解離性動脈瘤を呈した脳梗塞の1例
市川 博雄加藤 崇之福井 俊哉河村 満杉田 幸二郎
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1996 年 18 巻 5 号 p. 409-414

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抄録
症例は59歳, 男性, 矯正右利き.高血圧, 糖尿病の既往はない.数日間, 一過性の左前頭部痛が持続した後, 突然右上下肢脱力が出現し入院した.意識混濁, 左方への共同偏倚, 左舌下神経麻痺, 顔面を含む右片麻痺を認めた。頭部X線CT, MRIで, 中大脳動脈領域に脳梗塞を示唆する所見を認め, 脳血管撮影では左内頸動脈頭蓋底移行部に壁不整の狭窄が認められた.同部位のMRI水平断像では, 狭窄した血管腔の周囲にT1強調, T2強調いずれの画像でも高信号を示す半月状の異常信号域を認めた.3カ月後には, これらの異常所見は消失した.本例は内頸動脈解離性動脈瘤に起因する脳梗塞であり, 内頸動脈解離性動脈瘤の直接圧迫により左舌下神経麻痺を呈したと推察した.さらに, 腹部大動脈撮影にて, 上腸間膜動脈にも解離所見がみられたことより, 全身性に血管の脆弱性が存在していることが示唆され, 基礎疾患として線維筋性形成異常などの可能性も考えられた.
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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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