脳卒中
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特発性頸動脈海綿静脈洞痩に対する血管内手術とその問題点
西 正吾橋本 信夫戸高 健臣田中 美千裕澤田 元史
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1997 年 19 巻 1 号 p. 46-53

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抄録

過去15年間の特発性頸動脈海綿静脈洞痩 (CdAVF) 50例に対する血管内手術とその問題点を検討した.男13例, 女37例, 平均年齢は57歳 (23歳から79歳) である.1例は未治療である.39例は最終的に経静脈的塞栓術 (TVE) を行い36例で治癒を, 3例で改善を得た。手技的には下錐体静脈洞 (IPS), 上眼静脈 (SOV) あるいは外頸静脈 (EJ) 経由にて痩孔を含めた海綿静脈洞 (CS) の閉塞を行った.10例で外頸動脈枝あるいは内頸動脈を閉塞し8例で治癒を得た.塞栓物質はブドウ糖, PVA粒子, 銅線, EVAL, コイル等を用いた.合併症として脳内出血が2例見られた.シャント量が少ない症例では経動脈的塞栓術も効果がみられた.痩孔部を閉塞することが原則だがSOV, 蝶形頭頂静脈洞等の皮質静脈, 痩孔の順に閉塞するのが確実である.IPS, CSの状態によりIPS経由でアプローチできないことがあり他のルートをとる必要がある.静脈還流障害の高度な症例では静脈性高血圧による梗塞を起こす可能性があるのでSOVの閉塞と痩孔部の閉塞は一期的に行わねばならない.症例によりその手技を微妙に使い分けることによりCdAVFに対する経静脈的アプローチがより安全, 確実に行われる.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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