脳卒中
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中小脳脚限局梗塞の検討
高松 和弘大田 泰正佐藤 昇樹佐能 昭村上 裕二
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1997 年 19 巻 2 号 p. 138-144

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抄録

梗塞巣が中小脳脚に限局した7例 (両側性1例, 片側性6例;男3例, 女4例, 年齢;52~76歳・平均66.3歳) を検討した.危険因子は高脂血症6例, 高血圧症5例, 糖尿病3例, 喫煙2例, 心疾患1例で, 発症機序は全例血栓性であった.臨床症状は小脳性運動失調7例, 回転性めまい4例, 難聴1例で, 7例中3例は小脳性運動失調のみを呈した (小脳半側症候群).血管病変を検索した6例中4例で椎骨脳底動脈の主幹部に病変を認め, 聴性脳幹反応は施行した2例共に異常所見を認めた.予後では独歩可能5例, 介助歩行2例で死亡例はなかった.中小脳脚には前下小脳動脈で灌流されることが一般的であり, 中小脳脚梗塞は前下小脳動脈症候群の中で論じられることが多い.しかし, 本検討で中小脳脚限局梗塞はlarge-artery occlusivediseaseによる一種の分水嶺梗塞である可能性が示唆された.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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