脳卒中
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閉塞性脳血管障害に対する脳血行再建術の効果
多施設共同研究の成績
脳血行再建術の効果に関する共同研究グループ
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1997 年 19 巻 3 号 p. 217-224

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抄録

脳血流低下を有する閉塞性脳血管障害患者における脳血行再建術 (EC/ICバイパス術) の虚血性脳卒中予防効果を検討するため, 多施設共同によるprospective randomized studyを行った.内頸動脈系の閉塞性脳血管病変による一過性脳虚血発作か脳梗塞を3カ月以内に認め, 日常生活活動動作が自立しており, 画像上内頸動脈または中大脳動脈本幹の閉塞か50%以上の狭窄を有し, 病変に一致した脳血流低下を認める症例を対象とした.症例選択基準に合致するとして登録された症例は, 無作為に外科治療群 (血行再建術+抗血小板剤) と内科治療群 (抗血小板剤の投与のみ) とに振り分けられた.5年7ヵ月の期間内に122症例が登録され, 最低1年以上の経過観察を行った.基準不適合例10例を含む37例が除外され, 85例 (外科群50例, 内科群35例) を検討した結果, 追跡期間中の虚血性完成型脳卒中は外科群, 内科群においてそれぞれ6例に認められ, 一過性脳虚血発作は外科群のみ5例に認められた.外科群における脳血流の改善は, 内科群と比較して統計学的有意差を認めたが, これら虚血性脳卒中の発生頻度においては両群問に有意な差は認められず, EC/ICバイパス術の虚血性脳卒中予防効果は確認されなかった.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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