1997 年 19 巻 4 号 p. 301-307
総頸動脈血流量, 血流速度, 平均血管径, 血管拍動幅の4年間の経年変化を縦断的に検討した.対象は検診受診者のうち, 薬剤内服歴がなく, 脳卒中の既往および危険因子を有しない例で, 1991年と1995年の両年に観察しえた37例である.測定は, 超音波ドプラ法とパルスエコートラッキング法を併用した脳血管特性測定装置 (QFM-2000XA) を用いて行った.総頸動脈血流量に有意の変化はなかったが, 血流速度 (cm/sec) は21.6±3.4から19.8±3.4と有意に減少し (p<0.05), 血管径 (mm) は7.4±0.6から7.7±0.7と有意に増加 (p<0.05), 血管拍動幅 (%) は4.7±1.2から3.9±1.1と有意に減少した (p<0.0005).この結果は, 危険因子のない健常者においても, 4年内に総頸動脈血管特性が変化することを示している.