脳卒中
Online ISSN : 1883-1923
Print ISSN : 0912-0726
ISSN-L : 0912-0726
メタアナリシスを用いた脳循環代謝改善薬臨床効果の再検討
篠原 幸人折笠 秀樹
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 19 巻 4 号 p. 308-317

詳細
抄録

現在我が国で市販中または発売承認のため臨床評価が十分になされ且つ, 偽薬 (プラシーボ) を対照としランダム割付けが行われた脳循環代謝改善薬に関する14論文から, それらの有効性をメタアナリシスを用いて検討した.自覚症状, 精神症候, および全般改善度を中等度以上の改善をもって有効とした場合, 全般改善度で見ると実薬は偽薬に比し1.59倍 (p<0.0001) 優れていた.一方, 自覚症状に関しては, 実薬は偽薬に比し1.77倍 (p<0.0001), 精神症候で1.85倍 (p<0.0001) 優れているという結果が得られたが, 神経症候とADLに対する有効性は相対的に低かった.この傾向は, 特に脳梗塞例で著しく, 逆に脳出血例では有意な効果は認められなかった.なお, 偽薬群1,918例での全般改善度の中等度以上の改善率は18.1%であった.

著者関連情報
© 一般社団法人 日本脳卒中学会
前の記事 次の記事
feedback
Top