脳卒中
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実験的梗塞脳の生化学的研究 (第1報)
とくにその脂質の変動と組織変化について
長山 正史跡部 俊彦一森 繁生土谷 一晃福永 昇
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1980 年 2 巻 3 号 p. 207-214

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抄録

自己凝血塊による実験的脳梗塞モデルラッテについて, 虚血巣の経時的推移と脳内脂質の変動を関連的 (病理生化学的) に観察した.患側半球のphospholipids含量は, 24hr目に減少ピークを認めたが, この間における脂質の変化曲線は, 脳浮腫の進行の指標となり得るものと考えられる.4日目前後において, 組織の崩壊, 壊死と浮腫の消退より, phospholipidsの真の減少がみられ, 以後, グリア細胞の増殖とともに経時的回復がみられる.phospholipidsは細胞および細胞内小器官の膜構成脂質であるが, 細胞の変性, 壊死に伴い各種酵素によりcatabolizeされ, 脂肪酸を放出するとともに, 最終的には無機リンとなり静脈系に入り, catabolizcされずに残ったものはmacrophageによって処理される.患側半球にトリグリセライドの軽度の増加傾向がうかがわれるが, macrophage内にみられるsudan III陽性, オスミウム好性穎粒の一部に対応するものであろう.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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