抄録
CT上確定診断された脳幹出血16例, 脳幹硬塞17例につき, CT上病変が主に橋に限局するものと, 中脳まで及んでいるものに分け, そのCT所見, 臨床症状及び予後の相違について検討した.
結果 : 1) CT上認められた脳幹出血の死亡率は31%であり, 従来言われていたほど絶対的予後不良ではなかった.2) その中でも中脳病変を有する脳幹出血の生命予後が不良であった.3) 脳幹硬塞例は全例が生存しており, その生命予後は非常に良好であった.4) 脳幹硬塞ではその硬塞巣が, 中脳よりも橋から下部に認められるものの機能予後が不良であった.5) このようなCTによる脳幹病変の部位決定も, reconstruction像の応用, CT angleの選択, mortion artifactを排除するための努力, 工夫, 頻回のfollow upCTなどにより, ある程度まで可能な時代となっている.