脳卒中
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脳梗塞に伴なう頭痛についての検討
亀井 博之西丸 雄也
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キーワード: 脳梗塞, 頭痛, CT スキャン
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1980 年 2 巻 4 号 p. 345-349

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抄録

1977年6月より1979年12月の間に, 当科にて脳梗塞と診断し, CTスキャン上その病巣が確認された86例 (男69例, 女17例, 平均年齢62.0歳) について, 脳梗塞急性期における頭痛の出現頻度を検討した.頭痛は86例中25例 (29.1%) に認められた.梗塞領域を内頚動脈系, 椎骨脳底動脈系に分け頭痛の頻度を見ると, それぞれ72例中15例 (20.8%), 15例中10例 (66.7%) であり, 椎骨脳底動脈系に多く見られた.内頚動脈系梗塞を部位別に頭痛の頻度を見ると, 穿通枝領域47例中9例 (19.1%), 皮質枝領域18例中3例 (16.7%), 穿通枝と皮質枝の両方の領域に及ぶもの7例中3例 (42.9%) であり, 有意差はなかった.梗塞の大きさについては, 大, 中, 小と分けて検討すると, それぞれ10例中3例 (30%), 37例中15例 (40.5%), 40例中7例 (17.5%) と梗塞が小であるほど頭痛の頻度は少なかった。
1.脳梗塞急性期における頭痛の出現頻度は86例中25例 (29.1%) であった.
2.頭痛は内頚・中大脳動脈系より, 後大脳・椎骨脳底動脈系に多かった.
3.小梗塞には少なかった.
4.内頚動脈系梗塞において, 穿通枝と皮質枝の両方に及ぶ梗塞例, 脳血管造影にて動脈閉塞を呈するものに頭痛の多い傾向が見られたが, 有意ではなかった.
5.脳梗塞急性期に伴う頭痛に関して, 文献的考察を加えた.
なお, 本稿の要旨は第5回日本脳卒中学会 (1980年, 東京) において発表した.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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