脳卒中
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線溶療法と急性期PTAを併用し神経機能の維持に成功した右内頸動脈高度狭窄の1例
大塚 快信岸本 利一郎脇 理一郎
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1998 年 20 巻 5 号 p. 500-505

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抄録

脳虚血発作を2回繰り返し,その治療に成功した右内頸動脈高度狭窄の1例を経験したので報告する.症例は69歳左利き男性.一過性の左麻痺を主訴に第1回目入院.同日,左麻痺と失語を発症,緊急脳血管撮影にて右内頸動脈の99%狭窄と同側M1の塞栓閉塞を確認,まず後者に対して線溶療法を行いMCAを再開通させ,次に前者に対し経皮的血管形成術(PTA)による2段階拡張を行い,結果ごく軽度の健忘失語を残すのみで麻痺は消失し,日常生活に復帰した.その後外来通院中,頸動脈エコーでは再狭窄を認めていなかったが,約6カ月後に左麻痺と失語を再発し,第2回目入院.緊急脳血管撮影にて右内頸動脈に99%再狭窄を認めたが末梢は開通していたため狭窄に対しPTAを施行,拡張に成功した.症状も直後より改善,麻痺は消失し,失語も前回退院時のレベルに回復した.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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