脳血管障害発症の週間及び季節変動について病型別に検討することは,その発症機序を解明する上からも意義があると考える.対象は最近5年間に入院した脳卒中連続749例であり,病型別内訳は脳出血291例,脳梗塞503例(アテローム血栓性196例,ラクナ158例,心原性脳塞栓149例)である.週間変動の検討では,アテローム血栓性梗塞は金曜日に多く,土曜日から日曜日に少なかった(p<0.02)が,この変化は65歳未満で明らかであった.さらにアテローム血栓性梗塞は,65歳未満の男性の検討で,金曜日に多い傾向にあった(p<0.1).他の病型では発症曜日に有意差は認められなかった.季節変動の検討では,脳出血の発症は冬に多かった(p<0.05).年齢階級別に分けてみると,65歳以上ではラクナ,65歳未満では脳出血で発症の季節変動がある傾向がみられた(それぞれp<0.1).脳卒中の発症を週間及び月単位でみると,病型により発症の分布に相違があり,生活環境,週単位の生活変化,気候の変化も危険因子として発症の誘因となりうる可能性が考えられた.