脳卒中
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興味深い所見を呈した末梢性後下小脳動脈瘤の1例
木村 知一郎古谷 保
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1999 年 21 巻 3 号 p. 329-334

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抄録

末梢性後下小脳動脈瘤の1例を経験した.症例は79歳女性.突然の強い頭痛と嘔気で発症し,来院した.CTスキャンにて第4脳室内の血腫と軽度のクモ膜下出血が認められた.右椎骨動脈撮影では,同血管は後下小脳動脈として終末化し,嚢状の動脈瘤が認められた.
手術所見として動脈瘤はlateral medullary segmentからposterior medullary segmentへうつるコーナーの部分に存在し,周囲に血管の分岐は認められなかった.
末梢性後下小脳動脈瘤の報告はすでに200例を越えるが,このような形態を呈する症例の報告はいまだ少ない.
すなわち,1;コーナーとはいえ血管非分岐部に発生したこと.2;椎骨動脈が後下小脳動脈として終末化するタイプの奇形性異常の部分に発生したこと.3;多発脳動脈瘤であったこと.などの臨床的特徴があり,血行動態的要因に加え,先天性要因の関与も疑われた.
自験例を報告するとともに過去の報告例を検討した.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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