抄録
症例は69歳右利き男性で,感覚性失語を呈し,第1病日の脳血管造影で左中大脳動脈水平部閉塞が認められた.アテローム血栓性脳梗塞と診断し,アルガトロバンを開始した.第2病日から運動性失語へと変化し,顔面を含む右片麻痺が顕著となった、第8病日のMR angiographyで左中大脳動脈の末梢に血流が認められたことから,第21病日に再度脳血管造影を行ったところ,左中大脳動脈水平部の約90%狭窄と再開通を認め,皮質梗塞は溶解した血栓により生じた動脈原性塞栓症と考えられた.アテローム血栓性脳梗塞の中には本例のように抗血栓療法により閉塞血管が再開通し,塞栓症を生じる例が存在するものと考えられた.