抄録
脳動脈に閉塞や狭窄が生じる虚血性脳血管障害では,脳血管病変の評価は必須である.脳血管の狭窄・閉塞性病変を評価する方法の一つに神経超音波検査がある.神経超音波検査は,1)非浸襲的な検査で危険を伴わない,2)bed sideで容易にかつ繰り返し検査できる,3)検査時間が約15分と短く,real-timeに結果がわかる,4)高齢者にも検査が可能である,5)検査費用が安いなどの利点を有している.頚部血管エコー検査により,総頸動脈,内頸動脈,椎骨動脈の狭窄・閉塞病変の診断が可能である.これらの診断精度は極めて高い.さらに,脳血管の閉塞部位診断のみならず,脳梗塞の発症機序の推定や診断(血栓性閉塞,塞栓性閉塞,動脈解離),急性期脳梗塞患者の予後推定にも有用である.我々strokologistにとっては,聴診器とハンマーに加え,bed side診断法としての超音波検査が,脳梗塞急性期診療になくてはならない武器であることを強調したい.