2003 年 25 巻 2 号 p. 215-229
もやもや病は東アジアに多く認められる特異な脳血管疾患であり,ひとつの疾患概念として認識されてから40年近くが経過しようとしている.本総説では,もやもや病の歴史的背景,疾患概念,診断,放射線学的所見,内科的あるいは外科的治療法に関して,過去の報告を総括する.特に,MRIおよびMRAは本疾患において診断と経過観察を行なう上で欠かせない方法論となりつつある.また,SPECTやPETは脳循環代謝パラメータを把握することにより,効果的かつ安全に治療を行なう上できわめて重要なものとなりつつある.脳血行再建術は虚血発作を有する小児・成人例で有効性が確認されつつあるが,頭蓋内出血で発症した成人例における有効性が,現在,全国多施設研究で明らかにされようとしている.また,本総説では,原因遺伝子の検索,無症候型もやもや病の治療指針,もやもや病を有する症例の妊娠・出産時の管理など,今後解決されるべき問題についても展開した.