脳卒中
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異なる経過を呈した可動性血栓(floating thrombus)を伴う高齢者内頸動脈狭窄症の2治験例
今井 啓輔森 貴久泉本 一渡邉 聖樹神谷 俊輝
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2003 年 25 巻 2 号 p. 267-273

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抄録

緊急脳血管造影で可動性血栓(floating thrombus:以下FT)を伴う内頸動脈高度狭窄を診断し,異なる臨床経過をとった急性期高齢者脳梗塞患者の2治験例を報告する.症例1:運動性失語と右不全麻痺で来院した83歳女性.来院時の頭部MRI拡散強調画像で左大脳半球に多発性の高信号が存在し,保存的治療にて症状は次第に改善した.頸部血管超音波検査にてFTが消失した入院16日目に頸動脈ステント留置術を施行し経過は良好であった.症例2:全失語と右不全片麻痺で来院した82歳男性.来院時の頭部MRI拡散強調画像で左放線冠に高信号が存在し,保存的治療を開始したが麻痺が次第に進行した.FTが消失した入院27日目に頸動脈ステント留置術を施行したが症状は改善しなかった.FTを伴う内頸動脈高度狭窄病変による急性期脳梗塞患者の臨床経過は多様であり,保存的治療のみでは症状が進行することがある.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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