抄録
59名の脳卒中患者に対して,急性期病床から回復期病床への転院時期による機能予後の違いを,運動FIMを用いて検討した.平均在宅復帰率は79.6%であった.発症1カ月以内に転院してきた患者群は,運動FIMが入院時50.5から退院時75.4へ改善(FIM利得24.9)し,2カ月以内の転院群は,51.6から66.1へ(FIM利得14.5),3カ月以内の群は,38.3から50.3へ(FIM利得12.0)それぞれ改善を示した.FIM項目別に見ても全ての項目において各群間に差が認められた.また在宅復帰率はそれぞれ91.6%,73.0%,25.0%であった.自宅退院と施設転院との分岐点は運動FIM70点前後と考えられ,このレベルのADLを目指すためには,急性期病床からの転院がスムーズに行われることが必要で,遅くとも発症1カ月以内の転院が望ましいと思われた.