抄録
脳梗塞症例のCT所見については多くの報告があるが, 脳虚血後2週目後半に出現するCE陽性のメカニズムについては, 未だ意見の一致をみない.我々はこのCE陽性のメカニズムを解明するために, 雑種成犬を用いて実験的に各種脳梗塞モデル犬を作製した.その結果, 前大脳動脈中大脳動脈, 後大脳動脈の三カ所を一時的に3時間遮断し, その後解除することにより, 14日間生存し, かつCTで確認し得るCE陽性を呈する脳梗塞犬を作製し得ることを知った.そして, 14日目にCTにてCE陽性を確認した後剖検し, その組織像を検討した.
実験動物に犬を用い, 中人脳動脈, 前大脳動脈, 後大脳動脈の三カ所を同時に3時間一時的に遮断することにより, 手術後14日目のCTにて, CE陽性を呈する脳梗塞巣を作製することができた.本報では, 実験動物の作製とその組織像について述べた.