脳卒中
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3 巻 , 1 号
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  • 鈴木 重晴, 森山 隆志, 三田 禮造, 畑中 光昭, 岩渕 隆
    1981 年 3 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 1981/03/25
    公開日: 2010/01/22
    ジャーナル フリー
    クモ膜下出血発症後, 脳底部動脈周囲の血性髄液の無気的変化が血管攣縮あるいは意識障害の発生に関与しているとの考えに基づき髄液血液混合液の無気的孵置を行ったところそのPH値が著明に下降することが判った.そこで破裂脳動脈瘤10症例の他に重症頭部外傷6症例を加えた計16症例に対して7%重曹水の頚動脈内注入を試み脳局所のacidosis補正の脳血管攣縮解除および意識障害改善に対する有効性を検討したところ, 血管攣縮そのものには効果はみられなかったが, 特に遷延性の意識障害には極めて有効であり, その効果は注入薬剤の末梢脳血管拡張作用による脳循環改善による思われた.
    以上の結果と, 髄液血液混合液の無気的孵置を応用した以前の実験結果とを考え併せることによって, 脳血管攣縮には頭蓋内局所のacidosisとprostcyclineおよびthromboxane A2合成過程が関与していると考えるに至った.
  • 友廣 忠彬, 宮島 真之, 本田 英比古, 下条 貞友, 宮原 正
    1981 年 3 巻 1 号 p. 9-15
    発行日: 1981/03/25
    公開日: 2010/01/21
    ジャーナル フリー
    31歳男性.主訴 : 左不全麻痺.起始および経過 : 昭和50年1月2日突然左上下肢のしびれ感を覚えたが数日で軽快, 同6日再び増悪, 左不全麻痺を来し当科入院.既往歴 : 17歳高血圧および脈拍の左右差を指摘された.現症 : 右橈骨動脈脈拍は左に比し弱く, 血圧右140/80, 左176/88mmHg, 下肢収縮期圧右80, 左70mmHg, 胸骨左縁第3肋間でLevine IV度の収縮期雑音聴取, 左上下肢に痙性不全麻痺, 深部反射亢進, Babinski反射および知覚鈍麻を認めた.検査成績 : 血清梅毒16倍陽性, 髄液陰性.血管撮影 : Aortographyで大動脈弓は左鎖骨下動脈分枝後著しく狭窄し, 圧曲線上急激な低下を示した。右橈骨動脈逆行性撮影では右無名動脈起始部で完全に閉塞, 右内頚動脈写で中大脳動脈起始部完全閉塞を認めた.左選択的椎骨動脈撮影では連続写で右椎骨動脈への逆流現象を証明し得た.保存的に5年10ヶ月経過観察し, 左不全麻痺はほぼ完全に回復, SSSは無症候性である。
  • 野中 信仁, 三浦 義一, 松角 康彦, 藤岡 正導, 桜間 信義
    1981 年 3 巻 1 号 p. 16-22
    発行日: 1981/03/25
    公開日: 2010/01/22
    ジャーナル フリー
    くも膜下出血のCT所見は, それぞれの髄液槽に認められるhigh densityの広がりとして把えられるが, 同時に脳内血腫や脳室内穿破も, 従来の脳血管撮影所見と比較して極めて正確に立体的把握を可能とした.くも膜下出血発症早期のCT所見の差異が, さらに予後の判定と治療方針の選択に資するものであるならば, くも膜下出血の治療にとりCT診断が一層的確有効となることは疑いない.早期CT所見と予後との相関を知る目的のもとに, 102例のくも膜下出血症例のうち4日以内のCT所見を分析した.くも膜下出血早期CT像の多くは, 両側シルビウス裂溝ならびに前大脳縦裂が, くも膜下凝血により満たされるか, くも膜下腔の閉塞を示すことが特徴であるが, しばしば, 脳底槽, 迂回槽, 四丘体槽までも, くも膜下凝血が満たす時, 早期死亡あるいは脳血管攣縮の発生など不良な経過をたどる可能性が強い.また脳室内出血, 脳内血腫を伴う場合は, 特に予後を不良とする可能性が極めて高く早期手術の適応が大きいことが判った.
    1) くも膜下出血の急性期 (発症後4日以内) に施行することができた73症例の早期CT像を分析し, くも膜下出血患者の予後との相関を検討した.
    2) くも膜下腔の状態を, CT所見より, 凝血, 消失, 開存と分類した場合, 良好な経過を示した群では, 両側シルビウス裂溝ならびに前大脳縦裂のみが, 凝血, 消失の所見を示すのが特徴であるが, 早期死亡あるいは, 脳血管攣縮の発生という経過をたどった群では, 脳底槽, 迂回槽, 四丘体槽までも, 凝血の所見を示す症例が極めて高い頻度でみられた.
    3) 脳室内出血の有無については, 良好な経過を示した群ならびに脳血管攣縮の発生という経過をたどった群では, 両側側脳室, 第3脳室, 第4脳室いずれも0~3.6%の頻度を示したが, 早期死亡群では, 33.3~46.7%と高い頻度だった.
    4) 脳内血腫の有無については, 良好な経過を示した群では, 3.6%, 脳血管攣縮の発生した群では7.1%, 早期死亡群では46.1%と有意の差がみられた.
    5) 急性水頭症の有無については, 良好な経過を示した群7.1%, 脳血管攣縮の発生した群28.6%, 早期死亡群では53.5%であった.
    6) 以上より, 両側シルビウス裂溝ならびに前大脳縦裂が, くも膜下凝血に満たされるか, くも膜下腔の消失が, くも膜下出血早期CT像の特徴であるが, 脳底槽, 迂回槽, 四丘体槽までも, くも膜下凝血が満たす時, 早期死亡あるいは脳血管攣縮の発生という経過たどる可能性が強く, 脳室内出血, 脳内血腫を伴う場合, 早期死亡する可能性が極めて高く, 一方, 発症早期から脳槽のlow demityがよく保たれているものは, 予後が良好であることが判明した.
    本論文の要旨は, 第5回日本脳卒中学会総会にて発表した.
  • 大石 光, 甲州 啓二, 吉本 高志, 鈴木 二郎
    1981 年 3 巻 1 号 p. 23-26
    発行日: 1981/03/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    脳梗塞症例のCT所見については多くの報告があるが, 脳虚血後2週目後半に出現するCE陽性のメカニズムについては, 未だ意見の一致をみない.我々はこのCE陽性のメカニズムを解明するために, 雑種成犬を用いて実験的に各種脳梗塞モデル犬を作製した.その結果, 前大脳動脈中大脳動脈, 後大脳動脈の三カ所を一時的に3時間遮断し, その後解除することにより, 14日間生存し, かつCTで確認し得るCE陽性を呈する脳梗塞犬を作製し得ることを知った.そして, 14日目にCTにてCE陽性を確認した後剖検し, その組織像を検討した.
    実験動物に犬を用い, 中人脳動脈, 前大脳動脈, 後大脳動脈の三カ所を同時に3時間一時的に遮断することにより, 手術後14日目のCTにて, CE陽性を呈する脳梗塞巣を作製することができた.本報では, 実験動物の作製とその組織像について述べた.
  • 田中 耕太郎, 後藤 文男, 福内 靖男, 天野 隆弘, 鈴木 則宏
    1981 年 3 巻 1 号 p. 27-36
    発行日: 1981/03/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    脳循環autoregalationにおける神経性因子の関与を軸索伝導の面より検討した. [方法] 成熟猫7匹を、用い, 我々の開発したvidicon camem systemにより脳軟膜動脈口径の連続記録を行なった.軸索伝導を特異的に抑制するtetrodotoxin (TTX) (20~30μg/kg) を静注, そのautoregulationに及ぼす影響を観察した。 [結果] (1) TTX投与後, 有意な血圧下降を認め, 口径は一時縮小した後, 軽度の拡張を示した. (2) 脱血時, 血圧下降開始より拡張反応出現までの時間は, TTX投与前26.5±5.3秒が投与後39.1±6.0秒に延長した.Vasomotor index (VMI) (-Δ口径 (μ) /Δ平均動脈血圧 (mmHg)) は, 0.418±0.084より0.482±0.119と明らかな変化は認めなかった. (3) 血液再注入による血圧上昇時, 収縮反応出現までの時間は, TTX投与前4.0±2.1秒より投与後23.5±4.4秒に有意に遅延した (p<0.001).VMIも0.387±0.085より0.006±0.091に有意に低下した. [結論] 脳循環autoregulationに生体内神経系, 特に脳血管壁に分布する自律神経系の軸索伝導が密接に関与している事が示唆された.
  • 恵谷 秀紀, 木村 和文, 岩田 吉一, 米田 正太郎, 今泉 昌利
    1981 年 3 巻 1 号 p. 37-44
    発行日: 1981/03/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    STA-MCA吻合術施行例に99mTc-アルブミン・マイクロスフェア (HAM) 頚動脈内注入法を新た適用し, 吻合血管を介する血流分布を検討し, 脳血管撮影と対比してその有用性を検討した.対象は内頚動脈閉塞症13例 (内両側閉塞2例), 中大脳動脈閉塞と狭窄の各1例で, 15例の17本の吻合血管に本法を施行した.5mCiの99mTc-HAMを内頚動脈閉塞症では手術側の総頚動脈に, 他の症例では外頚動脈に注入し, 5方向のシンチグラム (HAMシンチ) を記録した.HAMシンチでは多方向の観察により, 吻合血管を介する頭蓋内潅流領域を顔面, 頭皮などの外頚動脈領域と容易に識別出来, その領域は術後脳血管造影での頭蓋内血管造影の程度とよく対応し, しかも領域としてより明瞭に描出された。本法は吻合血管を介する潅流領域を微小循環レベルで明瞭に描出出来, 脳血管造影, rCBF測定などとともに吻合血管機能評価の上で1つの検査法として臨床的に有用であると考られる.
  • 松林 公蔵, 川村 純一郎, 福山 秀直
    1981 年 3 巻 1 号 p. 45-53
    発行日: 1981/03/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    脳血管障害例で, CTおよび脳シンチグラムをほぼ同時期かつ経時的に施行し両者の所見を比較検討し, 以下の結果を得た.
    (1) 脳梗塞では, CT造影効果陽性部位のみが脳シンチグラムの異常集積像と時期および部位の点でほぼ一致した.
    (2) 脳梗塞におけるCT低吸収域と脳シンチグラム異常集積像は, それらの発現時期および形態が, 必ずしも相関しなかった.
    (3) 脳シンチグラムによる脳梗塞病巣描出にあたっては, early brain scan (RI静注直後) よりもdelayed brain scan (RI静注後3時間後) の方が明瞭であり, その逆は皆無であった.
    (4) 脳内出血例でのCT造影効果と脳シンチグラムとの関係は, 脳梗塞のように一定したものはなかった.
    脳梗塞におけるCT造影効果陽性部位, すなわち脳シンチグラム陽性部位は, その病態生理を考えるにあたり, また治療の上からも重要な意義を持つと考えられる.
  • 小林 祥泰
    1981 年 3 巻 1 号 p. 54-62
    発行日: 1981/03/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    目的 : 脳血管CO2反応性および自己調節機構に対するノルアドレトリン (NA) 作動性神経の関与について実験的検討を行なった.
    方法 : 成猫33匹を用い, 水素クリアランス法, 交叉熱電対法により局所脳血流 (rCBF) を測定した.NA作動性神経の抑制には強力なdopamine-β-hydroxylase (DBH) 阻害剤であるフザリン酸 (FA) (20mg/kg) 静注を用いた.
    結果 : 1) FAは視床部rCBFをdose-dependlentに増加させた.2) DBH抑制により5% CO2吸入による脳血管CO2反応性は有意に増加した.しかし, 過換気に対する反応性には変化が認められなかった.3) DBH抑制により脱血による血圧下降に対する脳血管自己調節機構の抑制がみられたがアンギオテンシンIIによる昇圧に対しては有意の変化は認められなかった.結論 : NA作動性神経は脳血管CO2反応性に対し抑制的に働いており, また {nL圧下降に対する脳血管自己調節機構に重要な役割を演じていることが示唆された.
  • 大森 啓造, 矢島 途好, 沼野 藤夫, 前沢 秀憲, 小田倉 力
    1981 年 3 巻 1 号 p. 63-68
    発行日: 1981/03/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    脳血管障害とthromboxane A2 (TxA2) との関係を追求するため, 発作第5病日以内に入院した脳卒中患者20例 (脳血栓症13例, 脳出血6例, クモ膜下出血1例) につき, 第1~5, 7, 10, 14病日に採血し, TxA2の安定代謝産物であるTxB2の血漿濃度を, radioimmunoassayにて測定した.脳血栓症では血漿TxB2値は, 入院時346±40pg/ml (平均値±標準誤差) と健康正常人の217±9pg/mlに対して有意の高値を示し, 2週間の観察期間を通じて高値を持続した.脳出血では血漿TxB2値は, 入院時198±9pg/mlで健康正常人と有意差なく, 第7病日までは同様の値を示したが, 第10, 14病日にの有意の高値を示すようになった.また, 脳卒中発作後の臨床病態と血漿TxB2値との間には密接な関係があり, 重症度に比例して高値を示し, 臨床症状の改善に平行して下降している症例が多くみられた.血漿TxB2値の測定は重症度, 予後の判定に有用であると考えられる.
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