脳卒中
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虚血性脳血管障害と未破裂脳動脈瘤
松崎 隆幸福岡 誠二和田 啓二武田 利兵衛末松 克美
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1981 年 3 巻 4 号 p. 370-377

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抄録

Incidental aneurysmのembolic source (symptomatic aneurysm)としての臨床的意義をあきらかにする目的で, 14例の虚血性血管障害で発見された未破裂脳動脈瘤について検討した.
これらの臨床症状, strokeのタイプ, CT, 所見脳血管撮影所見 (頭蓋内動脈硬化度, 動脈瘤部位, 形状, 頭蓋外頚動脈閉塞性病変), 血液生化学的所見などから, 両者の因果関係を検討した.
その結果, completed stroke例では, 動脈瘤が虚血原因とするには, 動脈硬化などの他病変を合併している場合が多く証明困難であった.それに対して, 56歳男性, 頻回のTIA (1側麻痺, 言語障害) 例については, 左中大脳動脈瘤クリッピング後1年を経過しても, 完全にTIAは消失した.これらの事実から, TIAの稀なる原因として未破裂脳動脈瘤があることを強調しクリッピングによる動脈瘤処置の重要性を述べた.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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