脳卒中
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高令者の肥大型心筋症 (HCM) と虚血性脳血管障害
西出 正人入野 忠芳門田 永治中 真砂士辻 和夫
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1981 年 3 巻 4 号 p. 378-386

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抄録
脳塞栓のembolic sourceとなるべき心病変を, 過去2年半の間, two-dimensional echocardiographyを用いて検索してきた.その間対象となった虚血性脳血管障害188例 (completed stroke167例, TIA21例) において, リウマチ性弁膜症33例 (17.6%), 僧帽弁逸脱症4例 (2.1%), 僧帽弁輪石灰化症8例 (4.3%), 肥大型心筋症14例 (7.4%), うっ血型心筋症3例 (1.6%), その他17例 (9.6%) が診断された.このうち肥大型心筋症が14例あり, 男性7例, 女性7例, 年齢は53~81歳 (平均69.6歳) であり, うち11例が65歳以上の高齢者であった.ECG上, 7例に心房細動を, 1例に心室性期外収縮を認めた.CT, 脳血管写所見は内頚動脈閉塞症から, 閉塞血管をみいだせないものまでさまざまであった.肥大型心筋症の頻度が7.4%とコントロール群 (非脳卒中患者群) より有意に高く, 高齢者脳塞栓のembolic sourceとして新たに注目されるべき心疾患であると思われる.
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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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