脳卒中
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非破裂椎骨動脈瘤に合併した若年性脳梗塞の一例
柳沢 徹中林 治夫唐木 正敏村田 守昭渡辺 礼次郎
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1983 年 5 巻 4 号 p. 347-350

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抄録

非破裂動脈瘤内壁在血栓がembolic sourceとして脳梗塞をおこしたと推定される稀な症例を報告する.症例は38歳の家婦.高血圧, 糖尿病, 心疾患, 血管炎, 血液凝固能の異常等の合併がなく, また喫煙, 経口避妊薬の内服, 高脂血症等の背景因子もない.strokeをもって発症し, 左上1/4同名性半盲, 左視床症候群を呈した.CT-scan上右視床および右後頭葉に低吸収域を認めた.Seldinger法による脳血管写では左椎骨動脈に幅7mm, 長さ15mmの紡錘状動脈瘤と右椎骨動脈の形成不全をしめした.
本症例の脳梗塞は発生頻度のきわめて少ない椎骨動脈の非破裂動脈瘤の壁在血栓が, embolic sourceとして視床, 後頭葉に栓塞を来たしたことが強く推定された.紡錘状動脈瘤の発生には右椎骨動脈の形成不全による脳底部の血流異常が関与しているものと思われる.虚血性脳血管障害と非破裂動脈瘤との因果関係につき, 若干の文献的考察を試みた.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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