抄録
一側下肢に限局した不随運動のみを呈しCTスキャンにて対側視床にきわめて限局した出血性病変を確認した2症例を報告した.症例1) 74歳女性.一過性の右不全片麻痺, 意識障害の後, 約1ヵ月目より右下肢に限局したchoreo-athetosis出現.入院時右下肢の軽度筋トーヌス亢進以外, 他の神経学的所見は正常.CTで左視床VL核を中心とする病変を認めた.choreaは約2ヵ月で消失した.症例2) 77歳, 男性.左下肢の不随運動で初発 (発症時はballism様, 次第にchorea様となる).入院時, 左下肢に限局したchoreo-athetosis様不随意運動を認める以外正常.CTで右視床Vim核を中心とする小出血を認めた.choreaは約1カ月で消失した.