脳卒中
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脳静脈性血管腫の2症例
久永 欣哉沖田 直望月 廣齋藤 博
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1983 年 5 巻 4 号 p. 356-363

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抄録
脳静脈性血管腫は剖検時にみられる頻度に比し, その臨床例の報告は極めて少ない.我々は放射線学的に本症と診断された2症例を経験した.
症例1 : 45歳女性.思春期に左前額部の血管腫と思われる腫瘤を摘除している.今回は軽度の小脳症状で発症し, 頭部CTでは小脳の低吸収域と造影剤使用後の曲線状高吸収域を呈し, 椎骨動脈写では拡張した静脈とそれに流入する多数のmedullary veinからなる典型的な静脈性血管腫の所見を呈した.症状は高浸透圧利尿剤投与で速やかに軽快し, 病態として静脈性小出血を疑った.
症例2 : 39歳男性.右頭頂部痛と嘔吐で発症し, 頭部CT, 脳血管造影で前頭葉に症例1と同様の静脈性血管腫の所見を呈した.症状は保存的療法で軽快した.
上記2症例を報告し, 本疾患の臨床症状, 放射線学的特徴などを中心に考察を加えた.
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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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