抄録
一側視床前内側部の梗塞により, 急性発症のhypersomniaと記銘力障害を呈した2例を経験した.
症例1 : 62歳, 女性, 右利き.hypersomniaと記銘力障害を認めた.CTscanにて, 非優位側視床の前内側部にX線低吸収域を認めた.症例2 : 68歳, 男性, 右利き.hypersomniaと知的能力の低下や記銘力障害などの精神機能の低下を認め, また, Horner症候群と右上肢の軽度の脱力および異常知覚を認めた.CTscanにて, 優位側視床の前内側部にX線低吸収域を認めた.2症例とも, hypersomniaは約2週間の経過で消失した.
hypersomniaと記銘力障害の発現に関する視床前内側部の意義について検討し, 文献的考察を加えた.