脳卒中
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虚血性脳梗塞の全血粘度と赤血球変形能にかんする研究
本田 英比古木下 正信下条 貞友宮原 正
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1985 年 7 巻 5 号 p. 384-388

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抄録

虚血性脳梗塞98例について全血粘度, 赤血球変形能, 血漿フィブリノーゲン (以下fbg.) を測定しその臨床的意義を検討した.対象症例は臨床像 (特にCTおよび血管写所見) より皮質枝梗塞38例, 穿通枝梗塞60例の二群に分け, さらに急性期, 慢性期に分類して検討した. (1) 脳梗塞例のヘマトクリット (以下Ht) 補正全血粘度は対象群に比し有意に高値を呈した. (p<0.01) (2) 脳梗塞例の赤血球変形能も対照群に比し有意の低下を認めた. (3) 急性期脳梗塞の血漿fbg.は有意に高値を示すことが認められた.したがって脳梗塞の全血粘度の上昇は単にHtの上昇のみによるものでないことが明かとなった. (4) 皮質枝および穿通枝梗塞の2群間には全血粘度, 赤血球変形能ともに有意差は認められなかった. (5) 急性脳梗塞例では皮質枝, 穿通枝両群とも全血粘度の上昇する傾向が認められた.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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