抄録
急性期脳血管障害における脳循環調節に対する内因性プロスタグランディンの役割を検討した.発症7日以内の脳血管障害36例 (梗塞17例, 出血19例) を対象とし, 脳循環自動調節と化学調節については脳動静脈血酸素較差法を用い, 頭部挙上法および7%CO2+air吸入法によりdysautoregulation index (D.I.) =|ΔCBF/ΔCPP|, chemical index (C.I.) =|ΔCBF/ΔPaCO2| (%/mmHg) を指標とした.動脈血および内頚静脈血中プロスタグランディン (PG) とカテコールアミンはRIA法, HPLC法で測定した.
1) 動脈血および内頚静脈血中PGEレベルとD.I.は各々有意な正の相関を示した (P<0.01, p<0.05).
2) 内頚静脈血中PGEレベルとC.I.は有意な負の相関を示した (P<0.05).
3) 内頚静脈血中6-keto-PG F1αレベルとD.I.とは有意な正の相関を示した (p<0.05).
4) 動脈血中6-keto-PG F1αレベルとC.I.とは有意な負の相関を示した (p<0.01).
以上より, 急性期脳血管障害における脳循環自動調節と化学調節の障害に内因性プロスタグランディンの関与が示唆された.