脳卒中
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犬咬傷による総頸動脈閉塞症
横山 絵里子田川 皓一長田 乾平田 温犬上 篤
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1986 年 8 巻 2 号 p. 108-114

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抄録

犬の咬傷による右総頸動脈閉塞症から脳梗塞を起こした一例を報告した.本例は, 受傷直後より意識障害, 構音障害, 左片麻痺, 左半身知覚鈍麻, 病態失認, 左半側空間失認などの右大脳半球症状を呈した.受傷数時間後のDSAで右総頸動脈の完全閉塞が認められ, 頸部CTでは右総頸動脈の造影欠損を認めた.頭部CTで, 右中大脳動脈領域と右視床に低吸収域が認められた.本例における総頸動脈閉塞機序として, 外傷性解離性動脈瘤, あるいは外傷に基づく血管壁内血腫による急激な血管閉塞の可能性が考えられた.
また, 本例で施行された動脈性DSAは, 病変部に対する直接的侵襲を軽減し得る点, また造影剤を節約できるなどの点で有用な検査である.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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