脳卒中
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8 巻 , 2 号
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  • 荒木 五郎, 柚木 和太, 田沢 俊明, 城下 尚, 正和 信英
    1986 年 8 巻 2 号 p. 91-101
    発行日: 1986/04/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    肺血栓あるいは塞栓症は稀な疾患とされているが, 脳血管障害剖検274例中20例7.3%に認められ, また肺梗塞を証明した症例に限ると13例4.7%となる.発症頻度はいずれも脳出血, クモ膜下出血, 脳梗塞の順に高い.なお臨床上肺梗塞と思われる症状を呈した症例は3例に過ぎず, 臨床検査では胸部X線写真で無気肺, 葉間肋膜炎各1例, 肺炎2例を認めた.血液所見としては白血球増多症が大部分に認められ, GOTが正常でLDHの上昇をみた症例が40%を数えた.病理所見としては, 全身多発性血栓の部分症 (7例) として, また単独に肺動脈血栓あるいは塞栓を認めたもの (13例) があり, 後者の大部分は血栓由来の塞栓症 (肺血栓塞栓症) と考えられた.肺梗塞を認めなかった7症例のうち, 太い血管における閉塞症を示した脳塞栓症1例を除き, 他の6例は肺の小動脈に多発した新鮮な血栓あるいは塞栓症であった.
  • 今屋 久俊, 高橋 弘, 中沢 省三
    1986 年 8 巻 2 号 p. 102-107
    発行日: 1986/04/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    妊娠中毒症から脳卒中発作を続発し, CTで特異な脳血管障害像を呈した1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.症例は25歳, 初産婦.妊娠10ヵ月で妊娠中毒症の診断で, 某産院入院.翌日, 頭痛, 嘔吐, 不穏状態が出現し, 右片麻痺を呈し昏睡に陥ったので当科に転院した. CTで両側基底核部の梗塞像と出血像, さらに脳室内出血を認めた. 脳血管写ではdiffuse vasospasmが認められたが, 脳動脈瘤, 脳動静脈奇形などの血管異常は見い出し得なかった.患者は早期治療と集中管理により救命し, 帝王切開で胎児娩出を行い, 母子共に良好な経過をとった.妊娠中毒症に伴う, いわゆる特発性の脳血管障害は, 稀ながら知られている.そのなかには妊娠中毒症による脳血管攣縮が主因となり, 脳浮腫, 脳虚血または脳梗塞をきたすものがある.そこに本症例は妊娠高血圧の増悪などが作用して, 血管破綻性の出血をきたしたものと推察した.
  • 横山 絵里子, 田川 皓一, 長田 乾, 平田 温, 犬上 篤
    1986 年 8 巻 2 号 p. 108-114
    発行日: 1986/04/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    犬の咬傷による右総頸動脈閉塞症から脳梗塞を起こした一例を報告した.本例は, 受傷直後より意識障害, 構音障害, 左片麻痺, 左半身知覚鈍麻, 病態失認, 左半側空間失認などの右大脳半球症状を呈した.受傷数時間後のDSAで右総頸動脈の完全閉塞が認められ, 頸部CTでは右総頸動脈の造影欠損を認めた.頭部CTで, 右中大脳動脈領域と右視床に低吸収域が認められた.本例における総頸動脈閉塞機序として, 外傷性解離性動脈瘤, あるいは外傷に基づく血管壁内血腫による急激な血管閉塞の可能性が考えられた.
    また, 本例で施行された動脈性DSAは, 病変部に対する直接的侵襲を軽減し得る点, また造影剤を節約できるなどの点で有用な検査である.
  • 野垣 秀和, 松岡 英樹, 佐々木 真人, 石田 和彦, 長尾 朋典
    1986 年 8 巻 2 号 p. 115-119
    発行日: 1986/04/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    脳梗塞急性期 (発症1週以内) の患者18例を対象に, dopamine (DA) を5~10μg/kg/min.静脈内持続投与しその前後の脳血流量 (CBF) の変化をXe-133吸入法で測定すると同時に, 血中DA値も測定し両者の相関を検討した.対象疾患の内訳は内頚動脈狭窄症5例, 中大脳動脈閉塞症2例, 中大脈動脈狭窄症3例, 脳血管写上正常であったもの8例で, 心臓由来の脳塞栓例や一過性の脳虚血例は除外した.その結果, 1) DA5μg/kg/min.投与例では平均血中DA値は62.1±9.6ng/mlを示しCBFに影響がみられなかったのに対し, DA10μg/kg/min.投与群 (6例) では151.9±35.7ng/mlの平均血中DA値を示し, 健側・患側各々13%・11%と有意 (P<0.05) に脳血流が増加した.2) DA10μg/kg/min.投与群ではDA投与前後で有意に全身収縮期圧の上昇をみたが, うち2例では血圧の上昇なく脳血流が増加した.3) 全身血圧50mmHg以上上昇した2例で不整脈発生をみたが容易に消失した.4) 血中adrenaline・noradrenaline値はDA投与前後で有意の変動を示さなかった.
    以上のことよりCBFの増加を得るには血中DA値を100ng/ml以上に維持することが必要で, このためにはDA10μg/kg/min.の投与が適切であると考えられた.
  • 大脇 潔, 後藤 信幸, 陳 茂楠
    1986 年 8 巻 2 号 p. 120-124
    発行日: 1986/04/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    進行性の頭痛を主訴として来院した31歳の女性に対してCTスキャンを施行し発見した右巨大後大脳動脈瘤の治験例を報告した.文献的には極めて稀であり, 調べえた限りでは25例である.それらの臨床症状は出血により発症する場合とmasssignにより発見される場合がある.又, 好発年齢は通常の脳動脈瘤に比べ若い例が多いことから, この動脈瘤は先天性のものが多いと考察されている.治療法としては直達術がよいが, 必ずしも柄部clippingが可能ではなく, 本例のごとく親動脈にclippingをしなくてはならない場合があるが, それによる神経脱落症が出現することは少ない.更に巨大脳動脈瘤のCTスキャン所見についての特長及び脳血管写上の大きさとの違いについても述べ, その定義に脳血管写上では25mm.以下でもCT上25mm以上のものは巨大脳動脈瘤とすべきとした.
  • 三倉 剛, 上田 孝, 木下 和夫
    1986 年 8 巻 2 号 p. 125-130
    発行日: 1986/04/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    最近6年間に当科で脳動脈瘤を合併した脳動静脈奇形8例を経験した.全例にCTスキャンと脳血管造影が行なわれ, それら脳動脈瘤の成因や両者に対する手術について検討し, 次のような結論を得た.1) 全脳動脈瘤が脳動静脈奇形のfeederに関与する血管上に存在し, さらに根治不能の脳動静脈奇形患者を観察中, follow-upの脳血管造影で新たなる脳動脈瘤の出現をみたことから, これら脳動脈瘤の成因としてはhemodynamic stressが最も強く関与していると考えられた.2) 脳動静脈奇形と脳動脈瘤は一期的に手術されるべきである.3) 根治不能の脳動静脈奇形や老齢者の未破裂脳動静脈奇形に合併した脳動脈瘤もクリッピングを行なった方が良い.
  • 曽我部 紘一郎, 三谷 慎二, 松本 圭蔵
    1986 年 8 巻 2 号 p. 131-136
    発行日: 1986/04/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    推定血腫量100ml以上をもつ激症型脳内出血3例に対し発症3時間以内の超急性期に局所麻酔下で血腫吸引除去術を行い3例とも良好な結果を得た.3例ともに来院時瞳孔散大し, 除脳肢位をとり, 呼吸不全があり, いわゆる脳ヘルニアの徴候がみられた.ただちに局所麻酔下で血腫腔内ドレナージを行い, 用手的に血腫量の約30-40%を吸引除去した.残存血腫に対しては留置したドレーンよりウロキナーゼを血腫腔内に注入しこれを漸次融解, 吸引除去した.全例血腫吸引除去術直後より呼吸状態の改善をみ, 意識水準も傾眠から昏迷へと上昇した.我々の3例の経験からたとえ激症型の脳内出血であっても可及的早期に血腫除去を行えば救命のみならず有意な生活をおくることのできるまで回復する例のあることが判明した.またその手術法として複雑な装置を必要とせず技術的にも非常に簡単で且つ迅速に行いうる血腫吸引除去術を試みるべきであると思われた.
  • 上家 和子, 〓川 哲二, 矢野 隆, 小笠原 英敬
    1986 年 8 巻 2 号 p. 137-143
    発行日: 1986/04/25
    公開日: 2010/01/21
    ジャーナル フリー
    Day3 (発症日をday0として) 迄の急性期破裂脳動脈瘤患者121例の入院時心電図上の頻脈・徐脈・不整脈・QTc延長・ST変化・T波増高・T波逆転・U波・左室肥大の9項目と神経学的重症度・CT所見・動脈瘤破裂部位・脳血管写上の血管攣縮との相関について検討した.96%に何らかの所見があった.頻脈・不整脈・ST-T変化は重症例に多かったが, 徐脈・QTc延長・U波・左室肥大は重症度による差がなかった.CT上のくも膜下凝血の範囲に相関したのはU波のみで, 左右差は何れの所見でもみられなかった.破裂部位では徐脈が前交通動脈に多く, 不整脈は左側例に, T波逆転は右側例に多かった.脳血管攣縮では, 左室肥大は攣縮高度例に多かった以外, 明らかな関係はなかった.くも膜下出血における心電図異常に関しては, 視床下部一カテコールアミンが重要と考えられているが, QTc延長・徐脈などでは別の機序を考える余地があると思われた.
  • 柴田 尚武
    1986 年 8 巻 2 号 p. 144-149
    発行日: 1986/04/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    急性期脳梗塞モデル犬を用いて, 永久閉塞群と再開通群の毛細血管の超微形態の変化を超薄切片法に加えて凍結割断レプリカ法を用いて観察した.梗塞巣皮質毛細血管膜面のpinocytotic vesicleの数の増加や面積の増大, 膜内粒子の増加がみられた.一方, tight junctionは5~6条のstrandからなり, strandを構成する膜内粒子が不連続な配列を示していたが, 明らかな開放はみられなかった.梗塞巣周辺部で壊死に落ち入らず機能を保持している毛細血管内皮細胞においては, 細胞膜が動的に変形しながら高分子物質を細胞の外から内へ, あるいは内から外へ輸送する膜動輸送の亢進が起こるが, tight junctionの開放は起こり得ないと考えられた.
  • 宮坂 佳男, 伊藤 比呂志, 遠藤 昌孝, 田辺 貴丸, 大和田 隆
    1986 年 8 巻 2 号 p. 150-158
    発行日: 1986/04/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    大脳半球のAVM49例の手術成績と諸因子との関連性を検討し, 特に非出血性AVMに対する摘出術の可能性について報告した.出血の有無を問わず, 直径5cm末満の大脳半球AVMはspeech-motor-angular領域のAVMを含めて, 神経脱落症状を残すことなく全摘出できる可能性が高い.一方, 直径5cm以上の非出血性のlarge AVMでは社会復帰率が43%と, 手術成績が不良であった.特にpoorly demarcated AVMで, lenticulo-striate, anterior choroidal arteryがfeederとして関与するanatomical grading IVの large AVMでは残存AVMに起因する術後の脳内血腫と, それに伴うmortality, morbidityが高率であり, このような症例に対して積極的に手術適応があるとは言えない.一方, large AVMでも境界が比較的明瞭で, 上記の深部からの諸動脈がfeederとして関与していない症例では手術操作による神経脱落症状を残さずに全摘出できる可能性が存在する.
  • 廣田 安夫, 梁井 俊郎, 蓮尾 裕, 輪田 順一, 清原 裕
    1986 年 8 巻 2 号 p. 159-166
    発行日: 1986/04/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    福岡県久山町の一般住民1,110名 (40-69歳, 男489名, 女621名) を対象として食品・嗜好物摂取頻度の脳卒中発症におよぼす影響を15年間の追跡結果で検討した.この間の初回脳卒中発症者は111名で, 生存34名, 死亡77名うち剖検73例 (94.8%), 病型別では脳血栓症72, 脳塞栓症1, 脳出血23, くも膜下出血12, 判別困難例3であった.米・麦, 牛乳, 肉類, 魚介類, 緑黄色野菜, 味噌汁, 漬物類, 酒類, 煙草の摂取頻度, body mass index (BMI), 収縮期血圧, 拡張期血圧, 血清総コレステロール, 血清蛋白の各変量を, Coxの比例ハザード・モデルを使用して解析した所, 収縮期血圧の上昇の次に壮年男子では肉類摂取頻度, 高年男子では魚介類摂取頻度の少ない事が有意 (p<0.05) の脳卒中発症危険因子として選択された.さらに, 脳卒中の病型中最も頻度の高い脳血栓症に限定した検討でも, 高年男子では, 同様に魚介類摂取頻度の少ない事が有意の脳血栓症の発症危険因子として選択された.
  • 宮田 嘉世子, 広瀬 隆一, 早川 功, 神田 直, 田崎 義昭
    1986 年 8 巻 2 号 p. 167-174
    発行日: 1986/04/25
    公開日: 2010/01/21
    ジャーナル フリー
    内頚動脈海綿静脈洞部に発生した細菌性動脈瘤の二症例を経験した.症例1 : 48歳女性.頭痛, 発熱を主訴に来院.臨床症状, 髄液所見より化膿性髄膜炎と診断.6日後左外眼筋麻痺が出現し, 脳血管写にて左内頚動脈海綿静脈洞部に動脈瘤を認めた.抗生剤の投与により, 1ヵ月後動脈瘤は縮少した.しかし1年後の脳血管写で動脈瘤の拡大がみられたため, 内頚動脈結紮術を施行した.症例2 : 33歳男性.敗血症にて抗生剤投与中, 左外眼筋麻痺が出現.脳血管写にて海綿静脈洞部に動脈瘤を認めた.15日後再検し, 動脈瘤の著明な拡大がみられたため, 内頚動脈結紮術を施行した.これらの動脈瘤は, いずれも細菌感染にひきつづき発生していることから海綿静脈洞部に発生した細菌性動脈瘤と診断した.同部に発生した細菌性動脈瘤は, 文献上24例の報告があり, 成因, 症状, 診断, 予後について文献的考案を加えた.
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