1986 年 8 巻 2 号 p. 150-158
大脳半球のAVM49例の手術成績と諸因子との関連性を検討し, 特に非出血性AVMに対する摘出術の可能性について報告した.出血の有無を問わず, 直径5cm末満の大脳半球AVMはspeech-motor-angular領域のAVMを含めて, 神経脱落症状を残すことなく全摘出できる可能性が高い.一方, 直径5cm以上の非出血性のlarge AVMでは社会復帰率が43%と, 手術成績が不良であった.特にpoorly demarcated AVMで, lenticulo-striate, anterior choroidal arteryがfeederとして関与するanatomical grading IVの large AVMでは残存AVMに起因する術後の脳内血腫と, それに伴うmortality, morbidityが高率であり, このような症例に対して積極的に手術適応があるとは言えない.一方, large AVMでも境界が比較的明瞭で, 上記の深部からの諸動脈がfeederとして関与していない症例では手術操作による神経脱落症状を残さずに全摘出できる可能性が存在する.