脳卒中
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脳卒中発症後のうつ状態についての検討頻度, 及び発症後1年間の推移についての検討
都筑 信介印東 利勝
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1987 年 9 巻 2 号 p. 162-167

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抄録

脳卒中発症後のうつ状態を発症1年間にわたり追跡調査した.発症後1年間の期間内にハミルトンうつ病尺度で20点以上の評点を呈した高度の「うつ状態」を呈した患者は, 右半球障害群で21例中11例 (52.3%) であり左半球障害群では17例中2例 (11.8%) であった.発症後3ヵ月から6ヵ月, 又は発症後6ヵ月から9ヵ月の3ヵ月間にハミルトンうつ病尺度の評点が3点以上上昇した例は右半球障害群で21例中7例, 左半球障害群では17例中2例存在した.このうち右半球障害群の7例は, ADL評点が低いもの程, 「うつ状態」の評点の上昇が高く, 負相関を呈した.又, 右半球障害群でハミルトンうつ病尺度にて20点以上の高度の「うつ状態」を呈した11例を, imipramine投与群6例 (T群), placebo投与群5例 (N群) に分けて, ハミルトンうつ病尺度の評点の推移を観察したところ2週後, 4週後, 6週後にT群の評点はN群の評価より有意に低下した.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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