脳卒中
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9 巻 , 2 号
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  • 佐藤 敬, 高松 滋, 水野 成徳, 東海林 文一郎, 高松 むつ
    1987 年 9 巻 2 号 p. 87-93
    発行日: 1987/04/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    慢性期脳梗塞患者35例と同年代の健康人34例について, 血漿中の血小板活性化因子 (PAF) 代謝酵素PAF acetylhydrolase活性を測定した.測定は, 血小板PAF凝集の抑制を指標とする著者らの方法によって行った.脳血栓患者の血漿PAFacetylhydrolase活性は4.18±3.08μg/mlで, 健康対照の値1.51±0.51μg/mlに比べて有意に高かった (p<0.01).いずれの群においても, 性, 年齢による差はみられなかった.患者, 対照の両群において, 血漿PAFacetylhydrolaseとLDL-コレステロールとの間に有意の正の相関が認められ, 本酵素がリポ蛋白, 特にLDLと複合体を形成している事実を裏付けていた.患者では, 対照に比べてLDL-コレステロールに対するPAF acetylhydrolaseの相対的活性が高い傾向にあった.患者のうち, 血小板ADP凝集能が亢進している例の血漿PAF acetylhydrolase活性は亢進していない例に比べて低く, LDL-コレステロールには, 血小板凝集能による差はみられなかった.
  • 沼野 藤江, 西崎 光弘, 手島 保, 武田 佳学, 沼野 藤夫
    1987 年 9 巻 2 号 p. 94-98
    発行日: 1987/04/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    高安病における重要な合併症である脳血管障害の病態を知る目的で109名の本症患者を脳血管障害群 (CVT) と対照群 (NCT) に分け, 両群の高血圧 (HT), 大動脈弁閉鎖不全 (AI) 出現頻度, 遺伝的背景の要因であるHLA-typing, 及び血小板凝集能を比較した.
    本症109名中24名 (22%) にTIAを含む脳血管障害が認られた.CVT, NCT両群間にHT, AI及びHLA-Bw52の出現頻度に差はなかったが, 血小板凝集能は健康人群より高安病群に有意の高値 (p<0.01) を示し, かつcollagen凝集においてCVTはNCTより有意に高値 (p<0.05) であった.以上の結果から本症における脳血管障害の発生には血小板凝集の重要な役割が示唆される.
  • 高倉 周司, 片田 和広, 佐野 公俊, 神野 哲夫
    1987 年 9 巻 2 号 p. 99-106
    発行日: 1987/04/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    当施設において, 過去4年6ヵ月間 (1980.1~1984.6) に, ウイリス輪前半部動脈瘤の急性期直達手術を284例経験した.これらの症例のうち4例に術後CT上, 天幕下に高吸収域を認めた.この高吸収域は, いずれも小脳foliaに沿って出現しており, また, 術中所見としてクモ膜下腔の血腫は比較的柔らかかった.4症例各々の天幕下高吸収域の発生機転を考察したところ, 血腫の術中操作による天幕下への流入の可能性が示唆された.また, 生命予後, 機能予後には直接影響はないと考えられた.
    本所見の存在を知ることは, 術後後出血との鑑別上重要であり, 術後無用な混乱を避けうる点で臨床的意義があると考える.
  • 渡辺 象, 宮川 弘一, 丸山 路之, 上嶋 権兵衛, 佐々木 康人
    1987 年 9 巻 2 号 p. 107-111
    発行日: 1987/04/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    虚血性脳血管障害81例を脳血管性痴呆と痴呆を伴わない脳梗塞に分け, 133Xe吸入法により局所脳血流量を測定し比較検討した.痴呆は長谷川らの簡易痴呆診査スケールで21.5点以下のものとした.また全例をCT所見より病変が右半球にあるもの, 左半球にあるもの, 両側性と三者に分類した. (1) 局所脳血流量の平均値は, F1, ISI共に脳血管性痴呆例が有意に低下していた (P<0.001). (2) 主病巣別局所脳血流量, 半球間局所脳血流量は疾患群間に有意差はなかつた. (3) 局所脳血流パターンは脳血管性痴呆例のCT上左右差を認めたものについて中央部領域の低下傾向が示された. (4) 局所脳血流量と長谷川らの痴呆スケールの対比では, 有意な正相関が得られた (p<0.001).
  • 加藤 利昭, 氏家 隆, 北村 伸, 添田 敏幸, 赫 彰郎
    1987 年 9 巻 2 号 p. 112-118
    発行日: 1987/04/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    Broca失語の責任病巣とその臨床症状発現閾値を調べるために, 右利きBroca失語者8例, 非失語者30例においてPETを用いて局所脳循環代謝を測定した.15O steady state methodにて安静非刺激時における脳血流量CBF, 酸素消費量CMRO2を求めた.Broca失語者においてX線CT上, 低吸収域が現在考えられている責任病巣, すなわち, シルビウス前方でブローカとその周辺領域およびそれらの皮質下に一致してみられる症例3例, みられない症例5例であったが, PETによる血流代謝低下域は8例とも現在考えられている責任病巣領域に一致していた.また, この領域にROIを設定し, 失語者と非失語者を比較することにより臨床症状発現閾値を求めた.その結果, この閾値はCBFにおいて20~27ml/100g/min, CMRO2において2.0ml/100g/minと思われた.X線CT上低吸収域の発現する閾値と, 臨床症状発現閾値との間には差があると思われるために, 臨床症状の責任病巣を検討する場合には, 脳機能を良く反映する脳循環代謝を測定する必要があると思われた.
  • 松室 健士, 新名主 宏一, 大勝 洋祐, 納 光弘, 井形 昭弘
    1987 年 9 巻 2 号 p. 119-123
    発行日: 1987/04/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    脳血管障害慢性期 (1ヵ月~1年以内) の患者について凝固系因子としてantithrombinIII (ATIII), 線溶系因子としてPlasminogen (PLG), α2-Plasmin inhibitor (APL) を測定し血液凝固線溶系の動態を検討した.脳出血患者ではATIII, PLG, APLのいずれも有意な変動を認めなかった。しかしながら脳梗塞患者を抗血小板剤投与の有無で比較した場合, 抗血小板剤非投与群ではATIII, PLGの有意な低下を認めた.性別では男性患者で, 年齢別では70歳以上でより有意に低下しており, また脳梗塞を主幹動脈系梗塞と穿通枝系梗塞に大別した場合前者において有意に低下していた.APLは正常範囲の変動であった。ATIII, PLGの変動は脳動脈硬化の進展とよく一致し動脈硬化性病変における凝固系の活性化, さらに線溶系の発動を反映しているものと推定される.また抗血小板剤投与群ではATIII, PLGは正常範囲の変動であり, 抗血小板剤の有効性が示唆された.
  • 中川 翼, 澤村 豊, 角田 実, 小岩 光行, 斉藤 久寿
    1987 年 9 巻 2 号 p. 124-128
    発行日: 1987/04/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    直達手術を行った65歳以上高齢者破裂脳動脈瘤の遠隔成績 (術後平均2年10ヵ月) を検討した.対象39例の結果は, 日常生活に支障がない, 18例 (46%), 多少の介助で日常生活普通にできる8例 (21%), ベット上臥床で全面介助4例 (10%), 死亡9例 (23%) であった.経過良好例 (日常生活に支障がない, 多少の介助で日常生活普通にできる) は, grade I, IIで90%, grade IIIでは45%, grade IVで0%.死亡9例 (23%) であった.死亡 (9例) の原因は, 脳血管攣縮3例, 肺炎などの全身合併症6例であった.以上より, 意識障害のない例 (grade I, II) では積極的に早期手術を行い, さらに意識障害のある例 (grade III, 一部gradeIV) でも, 全身に重篤な合併症がなく, 発病前に健康な生活を送っている例では早期手術を行い, しかる後に充分な全身管理を行うべきであろう.
  • 山野 和成
    1987 年 9 巻 2 号 p. 129-133
    発行日: 1987/04/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    脳血栓症158例につき血小板凝集能を測定し, 病期, 病巣部位による差異および抗血小板薬 (aspirin, ticlopidine) の投与量, 凝集抑制効果について検討した.
    1) 脳血栓症例の凝集能は急性期では対照群と差はないが, 慢性期には有意の高値を示した.
    2) 大脳皮質枝梗塞, 大脳穿通枝梗塞, 脳幹梗塞, CT上低吸収域を認めない脳血栓患者慢性期の凝集能は各群間で有意差はみられなかった.
    3) 凝集能の抑制には, ほとんどの例でaspirin 300~330mgまたはticlopidine 100mgの少量連日投与で十分であった.
    4) 血小板凝集能の亢進が脳血栓症の危険因子として意味をもつか否かは, 多数例のprospectiveな研究が必要である.
  • 野中 信仁, 松角 康彦, 山口 俊朗, 池田 順一, 三浦 義一
    1987 年 9 巻 2 号 p. 134-139
    発行日: 1987/04/25
    公開日: 2010/01/21
    ジャーナル フリー
    被殻出血に対する手術療法の適応については, 脳卒中外科研究会によるneurological gradingに基づき一定の方針がとられるようになった.しかしながら, 自験例の中でもgrade 4a, 4b群の転帰は, 外科的処置にもかかわらず予想外に不良となり, これら重症例 (4a, 4b) の予後を不良にする背景には一層の検討を要するものと考えられた.昭和60年5月までの過去3年間に経験した高血圧性脳内血腫259例のうち被殻出血は122例 (47%) となり, 4a, 4bはそれぞれ被殻出血の7.4%, 15.6%を占め, いずれも血腫量, 正中偏位, 視床伸展, 脳室穿破などのCT所見は極めて重篤であった.発症より入院時までの経過時間は, 3時間以内60.7%, 6時間以内78.6%と極めて短く, 発症後超早期における手術適応の評価判定にはneurological gradingに加え発症後の時間的経過も加味する必要があると思われた.
  • 濱田 潤一郎, 不破 功, 児玉 万典, 松角 康彦
    1987 年 9 巻 2 号 p. 140-146
    発行日: 1987/04/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    AVMのfeeding arteryに発生した破裂巨大脳動脈瘤に対し, parent arteryのclippingをおこなったところ, 脳血管系が両者と直接係のない部位に遅発性脳内血腫を形成した症例を経験した。この遅発性脳内血腫の発生メカニズムとしてnormal perfusion pressure breakthroughに類似した血行動態の変化を招いた可能性が推測された。AVMと脳動脈瘤の合併病変の治療に際しては, 手術後の血行動態の変化を配慮した慎重な治療方針の決定と術後の管理が必要であると思われた。
  • 早川 功
    1987 年 9 巻 2 号 p. 147-155
    発行日: 1987/04/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    臨床的にlacunar stroke (CLS) と診断された急性期脳血管発作71例の10%は, 脳出血であった.脳梗塞によるCLS群64例 (PMH46例, AH6例, PSS12例) と, 顔面を含む片麻痺に同側半身の感覚障害のみを呈したsensory motor stroke (SMS) 群36例をとりあげ, LSの臨床的意義について検討した。CT上の病巣が長径1.5cmより大きなI群は, CLS群の19%に認められた.直径1.5cm以下のII群と異常なしのIII群では, 病型別にみると, PMH76%, AH83%, PSS100%に, SMSでも47%に認められた.II+III群 (lacune群) では, 発症型は14%が突発完成型の脳塞栓症を疑わせた.SEPでは, PMH43%, AH50%, PSS78%, SMS82%に異常がみられ, SEPからこれらを鑑別することは困難であった。脳血管写では, I群でCLS群の60% (PMHでは75%), SMSの58%, II+III群の13%に, 内頚動脈系に明らかな閉塞性所見がみられた.
  • 松村 潔, 八尾 博史, 楠田 憲治, 佐渡島 省三, 藤島 正敏
    1987 年 9 巻 2 号 p. 156-161
    発行日: 1987/04/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    右網膜中心動脈閉塞症に対しウロキナーゼ大量投与中, 両側大脳半球脳塞栓症をきたした1症例を報告した.症例は50歳, 男性.右網膜中心動脈閉塞症に対しウロキナーゼ24万単位/日を投与されていたが, 投与7日目に突然意識障害をきたした.意識は3-3-9度方式で200, 痙性四肢麻痺, 両側のBabinski反射陽性であった.発症30時間後の頭部CTにて, 両側内頚動脈領域ほぼ全域に低吸収領域がみられた.突発完成した意識障害で発症し, 基礎疾患として, 心房細動, 肥大型心筋症を有していたことから, 両側大脳半球脳塞栓症と考えられた.患者は第6病日に死亡し, 剖検にて, 右内頚動脈, 左中大脳動脈, および左心房壁在の血栓を認めた.線溶療法と脳塞栓症の関係に関する報告はほとんど認めないが, 本症例では, 線溶療法が両側大脳半球脳塞栓症の誘因になっている可能性が示唆された.
  • 都筑 信介, 印東 利勝
    1987 年 9 巻 2 号 p. 162-167
    発行日: 1987/04/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    脳卒中発症後のうつ状態を発症1年間にわたり追跡調査した.発症後1年間の期間内にハミルトンうつ病尺度で20点以上の評点を呈した高度の「うつ状態」を呈した患者は, 右半球障害群で21例中11例 (52.3%) であり左半球障害群では17例中2例 (11.8%) であった.発症後3ヵ月から6ヵ月, 又は発症後6ヵ月から9ヵ月の3ヵ月間にハミルトンうつ病尺度の評点が3点以上上昇した例は右半球障害群で21例中7例, 左半球障害群では17例中2例存在した.このうち右半球障害群の7例は, ADL評点が低いもの程, 「うつ状態」の評点の上昇が高く, 負相関を呈した.又, 右半球障害群でハミルトンうつ病尺度にて20点以上の高度の「うつ状態」を呈した11例を, imipramine投与群6例 (T群), placebo投与群5例 (N群) に分けて, ハミルトンうつ病尺度の評点の推移を観察したところ2週後, 4週後, 6週後にT群の評点はN群の評価より有意に低下した.
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