1987 年 9 巻 2 号 p. 99-106
当施設において, 過去4年6ヵ月間 (1980.1~1984.6) に, ウイリス輪前半部動脈瘤の急性期直達手術を284例経験した.これらの症例のうち4例に術後CT上, 天幕下に高吸収域を認めた.この高吸収域は, いずれも小脳foliaに沿って出現しており, また, 術中所見としてクモ膜下腔の血腫は比較的柔らかかった.4症例各々の天幕下高吸収域の発生機転を考察したところ, 血腫の術中操作による天幕下への流入の可能性が示唆された.また, 生命予後, 機能予後には直接影響はないと考えられた.
本所見の存在を知ることは, 術後後出血との鑑別上重要であり, 術後無用な混乱を避けうる点で臨床的意義があると考える.