脳卒中
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肺動静脈痩に合併した脳底動脈閉塞症
長谷川 修宮本 一行
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1987 年 9 巻 5 号 p. 385-391

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抄録

両肺に動静脈痩を持つ36歳の女性に突然脳底動脈閉塞症が起こった.肺内シャントを通しての右心系血栓の移動によるものと考えられる.当初意識障害に伴って左側に強い四肢麻痺, 縮瞳, paralytic pontine exotropiaの状態となり, 右外転・顔面神経も障害されていた.意識回復期に一過性に非定型的ocular bobbingが出現した.右側優位の橋下部病巣によると思われる症状は次第に回復し, 食事・排泄動作自立, 車椅子生活で発症1年後に退院した.6年前の分娩後より側頭葉梗塞のため既に純粋語聾状態であったが, 今回仮性球麻痺等が加わり, 音声言語による意思疎通は全くできなくなってしまった.脳血管造影上, 上小脳動脈分岐部の直下での閉塞であったが, 経過を追って椎骨・脳底動脈径が細くなるとともに, 内頚動脈支配領域が増大し, 閉塞に伴う代償作用と考えられた.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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