ウイルス
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総説
メルケル細胞ポリオーマウイルスとメルケル細胞癌
中村 智之片野 晴隆
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2009 年 59 巻 1 号 p. 37-42

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抄録
 メルケル細胞癌から新たなポリオーマウイルスであるメルケル細胞ポリオーマウイルス(MCV)が発見された.メルケル細胞癌は皮膚の神経内分泌系の細胞であるメルケル細胞を由来とするまれな皮膚癌で,白人の顔面,頭部などに発症する.全長5.4kbpのウイルスDNAゲノムには他のポリオーマウイルスと同様にVP1, VP2, VP3, およびsmall T, large T (LT)抗原がコードされている.メルケル細胞癌ではMCVは高頻度に検出されているが,陽性率には地域差がある.他の疾患からはほとんど検出されていない.メルケル細胞癌ではMCV遺伝子が宿主細胞のゲノムにインテグレーションしていることが確認されている.LTは環状のMCVの複製に重要であるが,メルケル細胞癌ではLTの中間部分に休止コドンを伴う変異があり,C末端のヘリケースドメインが機能せず,Rb結合ドメインなどの働きにより発癌が促進される.ヒトポリオーマウイルスとしては初めての癌ウイルスに分類すべきものであり,今後,感染様式や発癌メカニズムの解明が期待される.
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© 2009 日本ウイルス学会
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