ウイルス
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総説
慢性活動性EBV感染症
木村 宏
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2011 年 61 巻 2 号 p. 163-174

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抄録
 普遍的なウイルスであるEpstein-Barr virus (EBV)は初感染後,終生潜伏感染するが,細胞性免疫が損なわれない限り症状が現れることはない.一見免疫が正常と思われる個体にEBVの慢性感染が起こることがあり慢性活動性EBV感染症(CAEBV)と称されてきた.CAEBVは発熱,リンパ節腫脹,肝脾腫などの伝染性単核症様症状が持続あるいは反復する疾患である.本症は稀ではあるが,重篤かつ予後の悪い疾患である.近年では,本症は単なる感染症ではなく,EBVに感染したTもしくはNK細胞の単クローン増殖が本態であることが明らかとなっている.本稿では未だ全貌が解明されていないCAEBVの発症病理について,筆者らの知見を交え考察するともに,本症の臨床像・治療・予後についても概説する.
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© 2011 日本ウイルス学会
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