ウイルス
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特集:Retrovirusのウイルス学
細胞傷害性T細胞(CTL)によるHIV感染の制御と逃避変異の選択・蓄積
村越 勇人滝口 雅文
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2013 年 63 巻 2 号 p. 209-218

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抄録
 HIV感染症では,HIV特異的細胞傷害性T細胞(CTL)が誘導され,体内でのHIV増殖を抑制する.HIV特異的CTLは,多様性に富むHLA クラスI分子を介した抗原提示によって誘導されるが,いくつかのHLA クラスI分子はHIV増殖抑制効果に密接に関係していることが知られている.HIV増殖抑制能を有するCTLが誘導されると,HIVは変異することでCTLからの攻撃を逃れる.さらに,変異したウイルスは,感染を繰り返すことで集団内に蓄積していく.これは,HIVがHLAクラスIに適合するように進化していくことを意味している.本稿では,HIV感染症におけるCTLの役割,HLAとHIV感染制御の関係,ならびにCTLによって選択された逃避変異ウイルスの蓄積について紹介する.
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© 2013 日本ウイルス学会
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