抄録
堆積物による酸素消費と生成は, これまで底生閉鎖系システム内の酸素濃度変化を追跡する方法で測定されていた. しかし, 従来法では外力条件や間隙水の移流を再現した測定ができず, その精度には疑問があった. 本研究では, ADV・酸素微小電極・渦相関法を用いることにより, 従来法とはまったく異なる測定手法を新たに開発し, 高精度な測定に成功した. 透水性のある砂質堆積物の酸素消費速度を従来法で測定した結果, 最大でも渦相関法の23%であったことから, 従来法では速度を著しく過小評価する可能性が高いことがわかった. 渦相関法は従来法の欠点が克服され適用範囲も広いことから, 今後の標準法になり得ることが確認された.