抄録
Epstein-Barrウイルス(EBV)がBurkittリンパ腫株から発見されて半世紀が経過した.この間分子生物学,血液・免疫学および移植医療のめざましい進歩から,EBVの感染様式と病態への関与が明らかになった.EBVと宿主の関係は,疫学から,ゲノムの構造と機能,microRNAなどの調節遺伝子,そしてepigenetic解析へと展開してきた.動物実験が困難であったEBV感染モデルも,ヒト化マウスを用いた研究が進んでいる.EBVがCD21を受容体としてB細胞に感染し,潜伏・再活性化する機構,獲得免疫の動態,自然免疫の関与など,病態生理の理解は深まった.一方,EBVが感染したT細胞およびNK細胞によるリンパ増殖症/リンパ腫の発症機構には未解明な部分が多い.本特集には,発がんウイルスとしてEBVの基礎と臨床それぞれの項があるので,ここではEBV関連疾患の研究史を感染細胞と宿主の免疫から概観する.