ウイルス
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特集:第61回日本ウイルス学会学術集会シンポジウム1「発癌ウイルス」
EBウイルス 研究史
~感染細胞と疾患の関わり~
大賀 正一
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2014 年 64 巻 1 号 p. 67-74

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抄録
 Epstein-Barrウイルス(EBV)がBurkittリンパ腫株から発見されて半世紀が経過した.この間分子生物学,血液・免疫学および移植医療のめざましい進歩から,EBVの感染様式と病態への関与が明らかになった.EBVと宿主の関係は,疫学から,ゲノムの構造と機能,microRNAなどの調節遺伝子,そしてepigenetic解析へと展開してきた.動物実験が困難であったEBV感染モデルも,ヒト化マウスを用いた研究が進んでいる.EBVがCD21を受容体としてB細胞に感染し,潜伏・再活性化する機構,獲得免疫の動態,自然免疫の関与など,病態生理の理解は深まった.一方,EBVが感染したT細胞およびNK細胞によるリンパ増殖症/リンパ腫の発症機構には未解明な部分が多い.本特集には,発がんウイルスとしてEBVの基礎と臨床それぞれの項があるので,ここではEBV関連疾患の研究史を感染細胞と宿主の免疫から概観する.
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© 2014 日本ウイルス学会
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