ウイルス
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総説
アフリカ豚熱(ASF)
國保 健浩
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2020 年 70 巻 1 号 p. 15-28

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抄録

 アフリカ大陸サハラ砂漠以南の風土病であるアフリカ豚熱(ASF)はイノシシ科(Suidae)の動物が罹患する熱性・出血性のウイルス感染症である.通常はサバンナ等に生息するカワイノシシやイボイノシシ等の野生種とOrnithodoros属の軟マダニとの間で非臨床的な感染環を形成するが,ひとたび豚が感染するとダニの介在を要することなく水平伝播し,その強い毒力により養豚業に甚大な被害を与える.治療法・予防法は未だ確立されていない.病原体であるASFウイルス(ASFV)は環境中での安定性が高く,感染豚の肉やその加工品中に潜んでアフリカ大陸から持ち出され,大流行を招くことがある.2018年8月には中国で発生し,以来東アジア,東南アジアで猛威を振い,日本の養豚業にとっても極めて大きな脅威となっている.本稿では本病を概観し,万一の発生に備えた”awareness”と“preparedness”の形成に役立てたい.

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