抄録
Epstein-Barrウイルス(Epstein-Barr virus; EBV)は,Γ-ヘルペスウイルス亜科に属するDNAウイルスで,最初に発見されたヒト癌ウイルスでもある.EBVは潜伏感染と溶解感染(ウイルス産生感染) の2つの感染様式を持ち,基本的にEBV感染細胞は潜伏感染を呈するが,ときに溶解感染へと移行し,子孫ウイルス産生およびウイルス伝播が起きる.溶解感染では約80個のウイルス遺伝子が秩序立って発現し,短時間の内にウイルスゲノム複製と,続く粒子形成が協調的になされる.本稿では,潜伏感染から溶解感染へと変化するときに,宿主細胞内でどのような変化が起きているのかについて,筆者の研究経緯を交えながら概説する.