2020 年 70 巻 1 号 p. 69-82
主にアフリカ地域で流行しているエボラウイルス病やラッサ熱,そして日本を含む東アジア地域で流行している重症熱性血小板減少症候群 (SFTS)など,我々は多くの高病原性ウイルス感染症の脅威に曝されている.近年,これら感染症への注目度が高まり研究の進展は以前と比べて遥かに早まっている.その結果,抗ウイルス薬やワクチンの開発が進み,一部認可されているものも出てきている.しかし同時に,新たな高病原性ウイルスの出現も起きており,私たちはこれら高病原性ウイルスの細胞内複製機構を分子レベルで解明し,新たな創薬標的の検証そして有用な抗ウイルス化合物の同定を目指している.