抄録
2013-2016年に発生したエボラウイルス病(Ebola virus disease: EVD)の流行は,ギニアを発端として西アフリカ全土に広がり,最終的に2万8000人以上の感染者を出す過去最大規模のEVDアウトブレイクとなった.本稿では,本流行の原因となったエボラウイルスMakona variantに関する研究結果を概説するとともに,Makona variantが有する特徴的なウイルス性状について紹介する.また,流行終息から5年を経てギニアにて再燃したEVDアウトブレイクと,EVD生存者体内に存続するエボラウイルスとの関連について論じる.さらに,最近報告されたEVD回復患者の再発症例などを踏まえ,明らかになりつつある新たなエボラウイルスの生態ならびにEVDアウトブレイクの形態について考察する.