抄録
2020年12月から世界中でCOVID-19ワクチン接種が推進されてきた.わが国では2021年2月17日からCOVID-19のワクチン接種が実施され,同年12月1日にはブースター(3回目)接種も開始された.COVID-19の流行対策の政策の決定や評価,変異株によって大きく変化する流行状況の分析において,日本国内での人口レベルでの免疫状況(免疫ランドスケープ)を把握することは欠かせない.本稿では数理モデルを用いた免疫ランドスケープの定量化や予測の方法を紹介する.構築されたモデルでは,COVID-19ワクチン接種率の予測,それぞれの流行株変異株に対するワクチン効果,1回目接種後の免疫の上昇(immune build-up),2・3回目接種後の免疫失活,自然感染による免疫が考慮され,その実装によって年齢群別の免疫保持者割合を把握することが可能になった.